クライミング ホールドのメーカーと種類紹介(その2)

前回のホールドの材料については、長々と書いてしまったので今回は簡潔に書いていこうかと思います。

今回はホールドのシェイプ(形状)と固定方法について説明していきます。

シェイプ(形状)

ホールドのシェイプは主にメーカーにシェイパーと呼ばれる人達がデザインを決めています。

有名なところではFlat holdのManuel HasslerやSo iLLのJason Kehlといったところでしょうか。

現在は毎年多くのホールドメーカーが立ち上がっているので数えきれないシェイパーが存在します。

彼らはクライミングのムーブ(動き)熟知しているクライミング経験者が多いですが、希に彫刻家といった芸術家もいたりします。

シェイプの手法としてはスケッチ図を手書きしたり、クレイモデル(粘土)や発泡のポリウレタンを使用して原型を削り出したりと様々です。

次は一般的なシェイプを紹介していきます。

ジャグ(ガバ)

ジャグは日本語で「(広口で取手の有る)水差し」という意味です。

水差しの形状からにているところからクライミングでもジャグと呼ばれています。

日本ではガバッと持てるから「ガバ」が一般的に使用されています。

エッジ(クリンプ、カチ)

エッジ(縁、へり、角(かど)または角のあるホールドをエッジホールドと言います。

エッジホールドのことをよくカチホールドと言うことがありますが、だからと言ってカチ持ち(クリンプ持ち)をしなければ持てないというわけでも無いのでこれらは間違いです。

極小の薄いエッジホールドでも練度が上がればオープンで持つことが可能になってくるので、他の人はオープンでもてるのに自分はカチ持ちでしか持てないといった場合は、足の使い方やボディバランスの取り方を見直した方が良いかもしれませんね。

ちなみに、クリンプはホールドの持ち方の呼び方で工具のペンチ「クリッパー」から来ています。

日本ではカチッと持つ様子から「カチ」と呼ばれています。

ピンチ

ピンチは親指とその他の指で挟む「ピンチグリップ」のから来ています。

クリンプ(カチ)同様にホールドの持ち方から来ているので一概にピンチというホールドは無い様に考えられますが、挟み込むように持つことが一番適切な持ち方をする形状から、ホールド形状としても一般的に呼ばれています。

スローパー

スローパーはSlopeの傾斜に”er”をつけて”Sloper”と呼びますが、クライミング界でのみ通用する造語です。

海外で使用すると恥をかくと思いますので気を付けましょう。

後、「スローパー持ち」という持ち方も有りませんので気を付けましょう。正確にはパーミングという持ち方が有効的ですね。

ポケット

ポケットは穴状のホールドです。

一本しか指が入らないポケットをワンフィンガー、二本指が入る場合はツゥフィンガーと言ったりしますが、こちらも形状を表す言葉なのでポケット持ちという言い方はしません。

他にもフットホールド、ハンドルホールドというように見た目の形状に応じた呼び方をされるホールドがありますが、フットホールドだから持てないか?というとそうでもないので、名称に捕らわれず形状を注視して持ち方を色々と考えることが大切だと思います。

ホールドの設置(固定)方法

ホールドは大きく分けて2種類の方法で設置(固定)されています。

・ボルト

・木ネジ

ボルト

クライミングのホールドの固定で使用されるボルトは一般的にM10サイズの穴付き六角ボルトが一般的です。

これと同様にクライミングボードの裏側にはM10のナットが埋め込まれていることが一般的です。

使用されるボルト長さはホールドの大きさやクライミングボードの厚みによって変わってきますので一概にこの長さを推奨しますといったことは余りありません。

親切なメーカーは推奨のボルト長さを記載してくれていますが、クライミングボードの厚みがそれぞれ違うということまで考えていないので、あくまで参考程度に考えた方が良いでしょう。

希に素人の様な施工業者が、クライミングボードの裏側に隙間を設けずクライミングウォールを作ってしまって後でホールドを取り付ける際にボルトの長さが合いにくいといったことが起こります。

クライミングウォールの施工は、専門の業者へ依頼することをお勧めします。

当社ではクライミングウォール施工をしています。

自宅向けのプライベートウォールから、ジムや施設向けの大型ウォールまで施工可能なのでお気軽にご相談ください。

また、ボルトはユニクロメッキされたものを使用することを勧めします。

錆びによってボルト固定時にすんなりとナットに入っていかずに、ネジ山を潰してしまうことがあります。

一本当たりでみると価格差は気になりませんがクライミングジムでは数百本(規模によっては千本以上)使用することも珍しくありません。

一本の価格が非メッキとメッキで1.3~1.4倍価格が変わるので、バカにならない価格差が出ますが、クライミングジムでは5~10年単位で長期に使用することを想定しているので非メッキの黒皮ボルトを業者が手配している時は注意しましょう。

賢明なクライミングジムでは、ユニクロメッキを使用していることでしょう。

ネジ(ビス)

一般的にボルトを配置できないような小さなホールドや、ボルトを使用すると長いボルトを必要とするホールド(所謂 ヴォリューム系ホールド)に使用されます。

また、ボルトで固定するホールドにも廻り止めとして使用されます。

(廻り止めの有無はEN規格でサイズによって決まっていたりします。)

ネジはボルトよりも遥かに引っ張り応力やセン断応力が低い為、ネジだけでホールドを固定する場合は穴が空いている箇所を全て使用することをお勧めします。

また、ネジの穴数が少ないと感じる場合は自分で穴を追加で空けることもお勧めします。

ネジは普通のホームセンターで販売されているので、よほどの拘りが無い限りは3.8mmの全ネジタイプ、長さによっては4.2mm以上のネジを出来るだけ全ネジタイプで使用しましょう。

後、拘りたいというかたはビスプレミアムのようなフレキタイプを選びましょう。

今回もかなりマニアックな内容だったのでは無いのでしょうか?

簡潔に書くと言った割に長いじゃないか?と思うかもしれませんが、前職の知識があれもこれも書けと邪魔してきましたね。

ホントのことを言うとホールドのシェイプは製品規格にも関わることが多いので記載したかったのですが、ハッキリ言ってクライミング業界とホールドメーカーのお粗末なことしか露呈しないので控えさせていただきました。

昔EN規格について調べたときにDINやBSにはホールドの規格あるのかな?と思いましたが、欧州全体のEN規格で補完されているから無いのだろうと結論づけました。

アメリカですらEN規格に沿ってホールドを設計するメーカーが多いのに日本はというと・・?

いつになったら日本でもEN規格のようなJIS規格が出来るんでしょうね~

もしくはEN規格に沿ってシェイプ・設計するんでしょう?

規格もそうですが、同時にQCとかトレーサビリティとか製造メーカーは品質管理に関わることにも知見を持ってほしいですね。(ISO9000を取れとまでは思いませんが)

次回はそろそろメーカーについて書いていこうと思います。

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